25. 心態詞

sor7
ついにっ!最終章でございますね!コションさんや!

koc4
テンションたっか…。ま、その通りですよ、ソラさんや。

koc1
最終章では、文法フリーな語群である心態詞についてやりたいと思います。

心態詞は、文法的にはどこにでも置けるもので、意味的には話者の心情や態度、挨拶、談話マーカーを表す語です。

sor2
ほうほう。文法フリーというのはまたまた粋ですな。…ん? 心態詞ってこの前ちょっとだけやらなかった?

koc2
よく覚えてたね。18章『命令』のところで、{.e’o}(要求)や {.e’u}(提案)といった心態詞をやったね。これらも、「それをしてほしい気持ち」や「行為や概念を勧める気持ち」といった話者の心情・態度を表していました。

他にも、色んな心態詞があるので、ちょっとだけ載せるね。

.a'o
心態詞:希望;それについて望みをかける気持
.au
心態詞:欲求;それを欲し求める気持
.ie
心態詞:賛成;それに賛同する気持
.iu
心態詞:愛好;それにたいする愛好が充溢している情況
.ua
心態詞:発見;新しく知った/見つけた/気づいた/分かった気持
.ue
心態詞:驚嘆;予期していなかったそれに驚く気持
.ui
心態詞:幸福;それについて嬉しさや幸せを感じる気持
.u'i
心態詞:愉快;それをおもしろく感じて愉しさを覚える気持

sor1
なるほどねー。「(笑)」とか「w」は{.u’i}で表わされるんだね。「ハートマーク」な気持ちは{.iu}かな?

koc1
うんうん、そんな感じ。「♪」な気持ちは{.ui}かな?

さて、文法の話をしておくと、構文上は直前の語に係ります。直前の語が構造開始語や終止詞なら、その構造全体にかかる よ。

今まで心態詞を文頭(.iの直後)に置いてたのは、.iの構造、つまり、文全体に係らせるためでした。

jimpe
x1 は x2 (命題)を x3 (題目)について理解する
mitre
x1 は x2 (数量)・ x3 (方向)・ x4 (基準)のメートル
titla
x1 は x2 にとって甘い
fange
x1 は x2 にたいして x3 (性質)の点で異質/外来/別世界的/風変わり

sor1
連続で使ってもいいんだね。そりゃ文法自由なんだから当然か。

koc5
好きに使ってください。でも、ひとつだけ言っておきたいことがあって、意味論上は直前の語に対する感情表現でなくてもいい んです。

感情というのは込み上げてくるものだから、どんなときでも素朴な自分の気持ちを表現できるように。という理由からね。

stapa
x1 は x2 を x3 で踏む
kalci
x1 は x2 (生体)の糞/排泄物

sor5
ひっでえ例文だなぁオイ


sor1
そういや、この前やったときは心態詞に nai を付けた形もやったよね。意味が反対になるんだっけ?

koc1
そうそう。NAI類やCAI類は心態詞の意味を反対にしたり、意味を強めたり弱めたりすることができる のです。

cai
CAI類; 心情や態度の強烈性を表す。「激」
sai
CAI類; 心情や態度が強いことを表す。!に相当する。「強」
ru'e
CAI類; 心情や態度が弱いことを表す。「弱」
nai
NAI類; 前の語を否定する。どんな意味になるかは係っている語によって異なる。
cu'i
CAI類; 前の語の意味を、中立的な意味にする。

sor1
いや最後駄々こねすぎでしょ…。なんか16章『否定文』でやった、to’e とか no’e に似てるね。

koc2
確かにそうだね。完全には対応してないけれど、nai/to’e、cu’i/no’e で概ね対応してるね。

なお、心態詞の反対語(XXX nai)や中立語(XXX cu’i)の意味は全て辞書で定義されています。

.aunai
心態詞:抵抗;それが嫌で手中にしたくない気持
.aucu'i
心態詞:無欲求;それを特に欲しくはないという気持
.uinai
心態詞:悲嘆;それについて悲しむ気持
.u'inai
心態詞:退屈;それをつまらなく感じて退屈を覚える気持
.ienai
心態詞:不賛成;それに賛同しない気持

sor2
{nai}{cu’i}のついた表現を見て、完全にその意味が推論できるというよりかは、関連した感情が覚えやすいって感じなんだね。


koc1
さて、このノリで心態詞の呼応系(COI類) もやりましょう。これはいわゆる挨拶・呼びかけです。

COI類は直後に項を取り込んで、その項の指示対象へ呼びかけます。取り込む項はなくても構いません。終止詞は do’u です。

また、項の代わりに、項の冠詞(lo/le/la)を外した形(述なれ語、名称語)を取り込むこともできます

coi
心態詞(呼応系):挨拶;「こんにちは/やあ」
co'o
心態詞(呼応系):別れの挨拶;「ばいばい/さようなら」
mi'e
心態詞(呼応系):自己紹介;「私は~です」。この単語だけ、後に続く語は自分の名前となる。
ki'e
心態詞(呼応系):お礼の言葉;「ありがとう」
je'e
心態詞(呼応系):了承;「OK/了解/どういたしまして」
vi'o
心態詞(呼応系):承知、言われたことに従う;「分かりました、やります」
di'ai
心態詞(呼応系):好意の表現;「頑張って」「グッドラック」「ご武運を祈る」「お元気で」
fau'u
心態詞(呼応系):謝り;「ごめんなさい」
do'u
終止詞:心態詞(呼応系)

sor2
こういう日常会話に使う語が2音節程度で定義されてるのは使いやすくていいね。しょいっしょいっ。


koc1
さて、最後に、心態疑問をやって終わりにします。とはいえ、これもこの前やったんだけどね。peiです。

pei は心態詞の後ろにつけて、「あなたはその気持ちを(どのくらい)持っていますか?」という疑問文が作れます。返答は、「はい」なら pei の前の心態詞をそのまま、「いいえ」なら nai。もしくは、強弱(ru’e、sai、cai、cu’i)を言ってもいい よ。

さらにさらに! pei は心態詞無しで用いると、直前の語について「あなたはどう感じますか?」という疑問文になります。返答としては、相応しい心態詞を述べれば大丈夫です。ma みたいな感じだね。

pei
心態疑問;直前の心態詞が表す感情を覚えるかどうかを相手に尋ねる。単独で使うと、それに対する心情を尋ねる。

sor7
うおおおお、ついに終わりましたよ…!

koc5
お疲れ様でした。これでロジバンの基本はほぼすべて押さえたはずだよ。っと、その話は次にすることにします。

心態詞について、もっと色々みたい人は、補助資料の心態詞チョイスを見てみてね。


○×問題

  1. 心態詞は構文上は直前の語に係るが、意味上はそうでなくてもよい。
  2. .a'o は「希望」、.ua は「発見」、.u'i は「愉快」を表す心態詞である。
  3. cu'i は no'e と、nai は na'e に対応する。
  4. 感情の強度は cai > sai > ru'e > nairu'e > nai > naisai > naicai である。
  5. coi は必ず項を取り込み、出会いの挨拶を意味する。
  6. ki'e sidju は「助けてくれてありがとう」と訳せる。
  7. pei の直前には必ず心態詞が無いといけない。
  8. pei は呼応系(COI類)にも付けられる。

-/-問正解!


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