12. 間制(時制と空間制)
さて、今日はみんな大好き(?)な時制をやりたいと思います。使い方は至って簡単。PU類を述語(selbri)の直前に置きます。
- ca
- 時制タグ。述語の直前に置いて、「今」を表す。
- pu
- 時制タグ。述語の直前に置いて、「過去」を表す。
- ba
- 時制タグ。述語の直前に置いて、「未来」を表す。
- mi ca citka lo plise
- 私は今、リンゴを食べる。
- mi pu citka lo plise
- 私は過去に、リンゴを食べる。
- mi ba citka lo plise
- 私は将来に、リンゴを食べる。
- citka
- x1 は x2 を食べる
- plise
- x1 は x2(種類)のリンゴ
めっちゃ簡単でいいね。ちなみに「タグ」というのは…?
{ca}, {pu}, {ba}の3つの語、つまりPU類は「タグ」としての働きがあるの。詳しいことは次の次でやります。
とにかく今回理解してほしいのは、タグは述語の直前に置ける ということ!
べっちょないね!
複合タグ
正味な話、時制の話はこれでお終いです。
…尺が余るよ?
よし、ならもう少しだけ発展事項を。「少し前に」とか「ずっと未来に」という言い方を学ぼう。
実に簡単。時間的距離を表す時制タグをPU類の直後につけるだけ です。
zi | zu | |
pu | 少し前に pu zi | かなり前に pu zu |
ba | 少し後に ba zi | かなり後に ba zu |
- zi
- 時制タグ。時間的距離を表す。PU類の直後に置いて、「少し」を表す。
- zu
- 時制タグ。時間的距離を表す。PU類の直後に置いて、「かなり」を表す。
- mi pu zi citka lo plise
- 私はちょっと前にリンゴを食べた。
- mi ba zu citka lo plise
- 私はずっと未来でリンゴを食べるだろう。
時間の向き(過去・未来)を表す語とその距離(短・長)を表す語を組み合わせてるのか。シンプルだね。
でしょ?こういう、いくつかの語が合体したタグのことを「複合タグ」と言ったりします。
…ここまで来たらこれもやっておこっか!さらに、「どれくらいの期間か」を表す時制タグもあるんだよ。
- ze'i
- 時制タグ。時間的範囲を表す。PU類かZI類の直後に置いて「短期間」を表す。
- ze'u
- 時制タグ。時間的範囲を表す。PU類かZI類の直後に置いて「長期間」を表す。
- mi pu ze’i bajra
- 私は過去にちょっとだけ走っていた。
- mi ba zi ze’u bajra
- 私は少し後で長時間走るだろう。
- bajra
- x1 は x2 (表面)を x3 (肢)・ x4 (調子)で走る
……新しい語が結構出てきたけど、大丈夫かな?
うん、なんとか。文法自体は簡単だしね。並びとしては、
方向 - 距離 - 範囲
だよね。うん、大丈夫だよ!
空間を制するタグ - FAhA, VI, VEhA -
さっきソラが言ってた「方向 - 距離 - 範囲」という式なんだけど、
これを見る限りだと、時だけじゃなくて、普通に空間にも適用できそうじゃない?
うん、確かに「右 - 少し先 - 小範囲」みたいなね。もしかして……?
そう、空間を制するタグもあるのです!ロジバンでは時間と空間を同じ風に扱えるんだよ。そこで、ふつうは時間を制する語と空間を制する語を合わせて間制(カンセイ) と呼ぶよ。
文法は時間の方とほぼ同じで 「方向 - 距離 - 範囲」。一気に載せちゃうね。
■ 方向(FAhA類)
- ca'u
- 空間制タグ。述語の前に置いて「前方」を表す。
- ri'u
- 空間制タグ。述語の前に置いて「右方」を表す。
- zu'a
- 空間制タグ。述語の前に置いて「左方」を表す。
■ 距離(VA類)
- vi
- 空間制タグ。空間的距離を表す。FAhA類の直後に置いて「短距離」を表す。
- vu
- 空間制タグ。空間的距離を表す。FAhA類の直後に置いて「長距離」を表す。
■ 範囲(VEhA類)
- ve'i
- 空間制タグ。空間的範囲を表す。FAhA類かVA類の直後に置いて「小範囲」を表す。
- ve'u
- 空間制タグ。空間的範囲を表す。FAhA類かVA類の直後に置いて「大範囲」を表す。
- le nanmu ba zi ze’u ca’u vu ve’u bajra
- あの男はあと少ししたら長い時間、(話者の)前方遠くの広い範囲で走る。
ちょっと単語がいっぱい出てきてしんどいけど、文法はごくごくシンプルだし、一気に表現の幅が広がった感じがする!
ところで、今日の今まで、間制タグって出てこなかったけど、そのときの時制(空間制も)ってどうなってるの?
大事なところに気がついたね。間制タグは任意な(optional)文法要素なので、必ずしも付けなくていいんだよ。
間制タグがない場合の文がいつ・どこの話をしているのかは文脈次第だね。逆に言えば、「文脈さえあれば(相手に意図が通じるなら)、間制なんて書かなくてもいい」ってことだね。
んー……でも本当に通じるかなあそれで……少し不安。
たとえば、日本語だと単数と複数を(殊更明示しないときは)表現上区別しないけど、だいたい通じてるんじゃない?
確かに。なら慣れの問題かもしんないね。大事なのは明示したいときに明示できる手段があるってことか。
○×問題
- 時制タグで複合タグを作る場合、その順番は「PU類 ZEhA類 ZI類」である。
- 空間制タグで複合タグを作る場合、その順番は「FAhA類 VA類 VEhA類」である。
- 時制タグと空間制タグそれぞれでの複合タグの作り方は根本的に異なっている。
-/-問正解!