14. sumtcita
前回、前々回で、間制、相制についてやってきました。
今回はタグの別の用法を見ていって、さらに色んなタグを紹介しようと思います。
今回もタグ回か。今まではタグは述語の前に置いてたよね。えっと…こんな感じで:
- le nanmu ba zi ze’u ca’u vu ve’u bajra
- あの男はあと少ししたら長い時間、(話者の)前方遠くの広い範囲で走る。
そうだね。タグにはそれとは別の用法があります。ずばり、項(sumti)の前に付ける 用法です!大雑把に言うと、タグを前置詞のように使うことができる んだよ。
タグのついた項は項が置ける場所ならどこにでも置けます。文頭でも文中でも文末で構わないけど、大体の人は文頭か文末に置いてるね。
- ca
- 時制タグ(PU類);「~と同じときに」
- pu
- 時制タグ(PU類);「~より前に」
- ba
- 時制タグ(PU類);「~より後に」
- ca'u
- 空間制タグ(FAhA類);「~の前で」
- ti'a
- 空間制タグ(FAhA類);「~の後ろで」
- ri'u
- 空間制タグ(FAhA類);「~の右で」
- zu'a
- 空間制タグ(FAhA類);「~の左で」
- bu'u
- 空間制タグ(FAhA類);「~と同じところで」
- pu lo nu do klama ti kei ra cliva ti
- 君がここに来る前に、彼はここを去った。
- mi ctuca do fo lo lojbo ca lo bavlamdei
- 私はあなたにロジバンを明日教える。
- lo nanla cu cmila ti’a do
- 君の後ろで少年が笑っている。
- mi tavla lo pendo lo lojbo ba lo nu penmi do kei bu’u la .latcmatcad.
- 私は、君に会った後、ラチュマチャドで、友人にロジバンについて話す。
- ctuca
- x1 は x2 (生徒/門下生)に x3 (命題)・ x4 (題目)を x5 (方法)で教える
- lojbo
- x1 は x2 (性質面)に関してロジバン系
- bavlamdei
- x1 は x2 の次の日; x1 は明日
- nanla
- x1 は x2 (年齢)・ x3 (基準)の少年/未成熟の男
- cmila
- x1 は笑う/笑い声をあげる
- pendo
- x1 (者)は x2 (者)の友人
- penmi
- x1 は x2 に x3 (所)で会う
ほうほう。述語の前に置いて副詞っぽくも使えるし、はたまた前置詞っぽくも使えるんだね。オールマイティだ。
でしょ? あと、ちらほらと nu が出てきてるけど、要所要所で kei でしっかり閉じていることも見ておいてね。
それと、「タグ zo’e」は zo’e を省略して 「タグ ku」とすることができます。kuの新しい相手だね。この使い方だと、前置詞というよりは副詞っぽい感じがするね。
- pu ku mi penmi do
- 私は、(いつかより)前に君に会う。
たしかに。…ちょっと細かいこと聞いてもいい?
えっと、タグ付き項は述語を修飾してるって考えたらいい?それとも文全体にかかってる感じ?
基本的には、タグ付き項は文全体を修飾する と考えてたらいいよ。
さっきの文なら、「私はあなたに会う、それはいつかより前のことだ」って感じ。
なるほどね。
さて、今までは間制と相制のタグについてやってきました。
ここからは少し趣の違ったタグについてやっていこう。
タグの中には法制タグといって、述なれ語を由来とするタグ というのがあります。 元々の語義とは少し違うけど、「述なれ語を法(ルール)とするタグ」って覚えておこう。1
- ti grusi jubme fi’e lo patfu
- これは父が創った灰色の机だ。
- fi'e
- 法制タグ(BAI類); finti x1 「~が創って」
- finti
- x1 は x2 を x3 (目的/機能)のために x4 (既存要素)から創る/発明する/著する
- jubme
- x1 は x2 (素材)・ x3 (脚/柱/台座)の机/テーブル/台
- grusi
- x1 は灰色
- patfu
- x1 は x2 の父親
ふむふむ…。この fi’e は、「finti を法とするタグ」ってこと?
そういうこと。
法制タグはその法となる述なれ語のx1の意味を引き継ぐんだよ。
fi’e は finti の x1、つまり「~を創る人として」とか「~が創って」という意味のタグになります。
そして、大事なことが、タグはSE類(se, te, ve, xe)を使って転換することができる ということです。
ん?!タグはPSを持ってないのに?
そう思うよね。えっと、SE類についてやったときに
「se, te, ve, xe を使うと、冠詞によってx2, x3, x4, x5が引き出せる」
って言ってたこと覚えてる?冠詞は取り込む述なれ句のx1を引き出すから…って話。
あー、覚えてるよ。お、なんとなく分かったかも。
原理はともかくとして、タグも法となる述なれ語のx1の意味を引き継ぐんだよね。だから、se, te, ve, xe を使うと、冠詞のときと同じように x2, x3, x4, x5 の意味が引き出せるイメージなのかな。
その通り。この辺りをきちんと説明すると長くなっちゃうから割愛はするけど、冠詞のときと同様、タグでも se, te, ve, xe を使うと、法となる述なれ語の x2, x3, x4, x5 の意味を引き継げる って覚えておいて。
- bau
- 法制タグ(BAI類); bangu x1 「~語で」
- gau
- 法制タグ(BAI類); gasnu x1 「~(動作者)によって」
- ka'a
- 法制タグ(BAI類); klama x1 「~が行って/来て」
- seka'a
- 法制タグ(BAI類); klama x2 「~を目的地として」
- ka'ai
- 法制タグ(BAI類); kansa x1 「~と一緒に」
- ki'u
- 法制タグ(BAI類); krinu x1 「~を理由として」
- pi'o
- 法制タグ(BAI類); pilno x1 「~を使用者として」
- sepi'o
- 法制タグ(BAI類); pilno x2 「~を使って/用いて」
- bangu
- x1 は x2 (使用者)が x3 (概念/命題/文字列)を表すのに用いる言語
- gasnu
- x1 (者)は x2 (事)をする
- klama
- x1 は x2 (終点)に x3 (起点)から x4 (経路)を x5 (方法)で行く/来る
- kansa
- x1 は x2 に、 x3 (事)において伴う/付き添う
- krinu
- x1 (事)は x2 (事)を許容する理由
- pilno
- x1 は x2 (道具/機械/者)を x3 (目的)のために使う
- mi ciska bau lo ponjo
- 私は日本語で書く。
- tu cu blanu gau le nanmu
- あれはあの男によって青くある(あの男が青くした)。
- mi lacpu lo bloti se ka’a lo xamsi
- 私は舟を海へ引っ張っていく。
- la .kocon. cu citka lo grute ka’ai lo nixli
- 少女と一緒にコションは果物を食べる。
- mi cortu lo jamfu ki’u lo nu ze’u bajra
- 私は長い間走っていたので足が痛い。
- ra ca’o zbasu lo stizu se pi’o lo xance
- 彼は手を使って椅子を作っている。
- ponjo
- x1 は x2 (性質面)に関して日本/ジャポニカ系(言語/文化/民族)
- lacpu
- x1 は x2 (対象本体)・ x3 (対象箇所)を引く/引っ張る
- bloti
- x1 は x2 (客/荷)・ x3 (原動力)の船/ボート
- xamsi
- x1 は x2 (領域/惑星)・ x3 (液体成分)の海/海洋
- nixli
- x1 は x2 (年齢)・ x3 (基準)の少女/未成熟の女
- grute
- x1 は x2 (種類)の果実/フルーツ
- cortu
- x1 (者)は x2 (箇所)に痛みを感じる
- jamfu
- x1 は x2 (本体)の足
- zbasu
- x1 は x2 を x3 (素材)から造る/作る/工作する
- stizu
- x1 は椅子/腰掛/ベンチ
- xance
- x1 は x2 (本体)の手
うひゃあ。今回はめちゃくちゃ単語が出てきたね…。
でも、タグを使うとかなり表現が広がることは実感できたよ。単語も覚えていかなきゃ…!
ごめん、確かにちょっと張り切りすぎたかも…。
はじロジも半分終わったことだし、この辺りで一度今までの復習と単語の暗記をやってみたらどうかな?
-
「法制」の「法」は元は “modal” を意味するので、こしょんの説明は「法(rule/modal)違い」です。しかし、ロジバンの”modal”は論理学や言語学での標準的な使い方と異なり、よく混乱の元となっているので、奇妙ではありますがこしょんのような説明を採用しました。 ↩
○×問題
- タグは項にもつけることができる。
- タグにはそれぞれ元となる述なれ語が存在し、その意味はその述なれ語のx2と等しくなる。
- 間制タグはsumtcitaとして使うことができない。
-/-問正解!